カフェオレがボヤく!

インテリジェンス(知性)とチキンを愛し追求する薬剤師、略してインチキ薬剤師があれこれかたります。

書評・感想『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

こんにちは。

インチキ薬剤師のカフェオレです。

今回はマシュー・サイド著

『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

の感想を。

 

これ、ゼッタイ読んどいた方がいい本だ・・・!(確信)

本の内容に沿ってその理由を書いていきますね。

人間はみな間違うものなんですよ。

間違いがないことを理想とするのは傲慢なんです。

失敗から学び、少しずつの改善がなされていって便利なイマがあるのです。

そして失敗を認められないことこそが進歩の妨げなのだ、と。

しかーし!

往々にして現実では間違いがあれば犯人捜しをしてしまうのがひとの悲しい性(さが)です。

本書ではこうしたことを科学的な手法や失敗の事例を挙げて深く考えさせてくれます。

目次はこんな感じ。

<目次>
第1章 失敗のマネジメント
「ありえない」失敗が起きたとき、人はどう反応するか
「完璧な集中」こそが事故を招く
すべては「仮説」にすぎない

第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
その「努力」が判断を鈍らせる
過去は「事後的」に編集される

第3章「単純化の罠」から脱出せよ
考えるな、間違えろ
「物語」が人を欺く

第4章 難問はまず切り刻め
「一発逆転」より「百発逆転」

第5章「犯人探し」バイアス
脳に組み込まれた「非難」のプログラム
魔女狩り」症候群 そして、誰もいなくなった

第6章 究極の成果をもたらす マインドセット
誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる

終章 失敗と人類の進化
失敗は「厄災」ではない

医療系の学部ではハインリヒの法則を学びますよね。

医療ミスを減らすための手法として。

現実はどうでしょうか?

 

アメリカでは毎年4万4千~9万8千もの患者が医療ミスでなくなっているそうです。

アメリカの人口は約3億3千万、日本の人口の3倍程です)

この数値は予測値であり、問題が認められた数字とは別。

つまり、大多数の医療ミスは問題にすらなっていないってことです。

当然これは日本でも言えることでしょう。

実際、予期せぬことが起こったときに『最善を尽くしましたが・・・』

で終わってしまうことは往々にしてありえることです。

 

失敗から学び、小さな改善を積み重ね、航空業界は(会社を絞れば)事故率が830万フライトに1回という奇跡的な数字をだしています。

多くの業界や我々の職場で行われる『犯人捜し』からの脱却ができていないように思えます。

それは失敗をマイナスととらえているからだと、そしてときにひとは自らのウソを信じ込んでしまうそうです。

(第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む)

 

我々は物事を単純化して考えてしまう習性があります。

ビジネスでも、こうすれば儲かる!とか。

本書では計画経済を例にあげています。

それが失敗してしまうのは、世の中そう単純ではないという裏返しで。

産業革命の先駆けとなった飛び杼や紡績機も

理論より経験知や実践知を基にしている、と。

とにかく試行錯誤、トライアル&エラー、失敗の量をいかに重ねるかが大事!

(第3章「単純化の罠」から脱出せよ)

薬の作り方と似てますね。

 

学ぶうえで大切なことは、

やや本と脱線しますが、メンタリストDaiGoさんは『知的謙虚』と言っています。

自身が知らないことを知る。

ソクラテス無知の知こそがこのパフォーマンス向上には必要だと。

わかっているつもり、から脱却しましょう。

本書でもこの『わかっているつもり』から

『マージナル・ゲイン(小さな改善)』の積み重ねを重視せよと述べています。

実際どうでしょうか?

専門職になったり、資格をとったり、

会社でも経験や役職がつくことで『わかってるつもり』になりがち。

そんなことはありえません、から裏返る科学的なことって実に多いのに。

 

フードファイターとして有名な小林尊さんも、

食欲がカギと思われていた大食いという戦いにおいて

噛み方や飲み方、手の動かし方、配分など、トレーニングをカメラでとり試行錯誤を積み重ねるということで伝説的な記録残したと言われています。

まさに『マージナル・ゲイン(小さな改善)』の積み重ねです。

(第4章 難問はまず切り刻め)

 

恐ろしいのは、我々の脳には、

一番単純で一番直感的な結論をだす傾向があるそうで。

個人でも組織でもありえ、

さらにこの認知バイアスだけじゃなく

犯人捜しのほうが『都合がいい』という面があります。

ありがちな魔女狩りですね・・・

この非難の衝動をどう克服するかがビジネスのカギですが

普通の会社の普通の職場でよく見る光景です。

それで去るひと、心身を病むひと、亡くなるひともいます。

誰かが悲しい思いをしたからといって問題が解決するわけじゃありません。

これも周知させていこう。

(第5章「犯人探し」バイアス)

 

1~5章をふまえ、

究極の成果をもたらす方法はなにか?

それは「成長型マインドセット」を持つことです。

(これまたメンタリストDaiGoさんも困難を乗り越える方法で語っていました)

成長型マインドセットとは、能力や知性も努力によって伸ばせると考えることです。

反対は固定型マインドセットといって、知性や才能は手固定であると考えること。

どちらのマインドを持つかで個人も企業も成長度がかわってくるそうです。

当然、成長型マインドセットのほうですよね。

失敗を受け入れ乗り越えていけるかどうか、

そしてときに「合理的に諦められる」かどうか。

自分の欠陥をさらけ出せるかどうか。

嗚呼、自身の失敗(いわば恥部)をさらけ出せることこそ成長の分けれ目なのですね。

(第6章 究極の成果をもたらす マインドセット

 

「批判を拒絶する者に成長は訪れない」

響きますねぇ。

批判を成長の糧として生きれるってのは、めっちゃ強そう。

反脆性のかたまりであり、やられるたびに強くなれるまさにサイヤ人的性質。

ギリシア時代に発展した科学は中世まで停滞してしましました。

それは「正しい」とされること以外を認めないキリスト教が絡む文化的性質が

まさに固定型マインドセットだったからです。

失敗しまくって、未来を作っていきましょう。

(終章 失敗と人類の進化)

 

また読みたい。定期的に読むべき1冊でした。

☆5

 

おわり